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テスト投稿:20260719

2026-07-19 16:15:11

写真は、大西洋の海水温の状況。アフリカから南米のアマゾンにつながる海域の濃い青の帯がニーニャの影響。太平洋のペルー沖以降の赤い帯がエルニーニョの影響)

 

世界の異常気象に影響を及ぼす強力なスーパーエルニーニョが太平洋の赤道東側の海域に出現、周辺の海水温がすでに平年値を3~4度上回る一方で、南米大陸をはさんだ反対側の大西洋の熱帯域に、海水温を引き下げる「大西洋ニーニャ」が現れたことがわかった。これら2つの海水温に及ぼす海洋異常の影響(暖かさと寒さ)は正反対のようにみえるが、大気への影響という点では同じ方向を向いており、米国のハリケーンシーズンにおいて「大気のシールド」を形成する形になるという。さらに、大西洋ニーニャが大西洋岸でのハリケーン発生を抑制し降水量を減少させるが、逆に冬の気象激化の可能性が浮上している。

 

独立系の気象サイト「Severe Wheather Europe」が公表した。最新の各気象機関の分析および予測データに基づく。大西洋におけるニーニャの発生は、海水温を下げ、ハリケーンの発生にとって不利な状況を示している。これは、主要な熱帯地域全体で、気圧の上昇、気流の下降、風シアー(風向・風速の急激な変化)の強化、そして降水量の減少を引き起こすことを意味している。

 

太平洋の東側の赤道付近ではENSO(エルニーニョ・南方振動)域があり、そこでは、よく知られたエルニーニョ現象が進行中だ。 NOAA CRW(アメリカ大気庁コーラルリーフウォッチ)による最新の海面水温解析では、主要なENSO地域はすでに強いエルニーニョ異常に覆われており、同地域での異常値のピークはすでに平年値を3~4℃上回っている。

 

エルニーニョによる海水温上昇海域と、ニーニャによる海水温低下海域はほぼ同じ緯度
エルニーニョによる海水温上昇海域と、ニーニャによる海水温低下海域はほぼ同じ緯度=Severe Wheather Europeより

 

一方、南米大陸をはさんで大西洋中部には、より小規模で発生頻度の低い「大西洋ニーニョ/ニーニャ」と呼ばれる現象が発生している。海洋の水温の異常は、地球規模の気象システムに極めて重要な役割を果たす。大西洋のニーニョによる水温異常は、ハリケーンシーズン、ひいては米国に直接的な影響を与えることが知られる。

 

エルニーニョの影響はより大きく、地球規模で冬や春の季節にまで及ぶことがわかっている。 寒冷な大西洋ニーニャの期間中は、熱帯低気圧の発生数が温暖な時期に比べて50%減少するとされる。これには米国へのハリケーンの上陸の減少も含まれる。

 

これらの海洋異常はすべて、貿易風によって引き起こされる。貿易風は、赤道付近で地球を周回する東風をいう。貿易風が強い場合、通常は深層の冷たい水を海面に引き上げる(湧昇)ことで、海面を冷却する。しかし、貿易風が弱いと、暖かい水が蓄積し、エルニーニョの発生を許してしまう。その結果生じる海洋の異常は、大気の状態や、地球規模の気象システムの異常を予想する「指標」となり得るとされる。

 

 今回明らかになった大西洋のニーニャ現象は前例がないわけではない。ただ、夏に強く発生することは比較的稀という。現在の冷却傾向が続き、季節的な異常値が-0.5℃を下回って終了した場合、2026年の現象は、直近40年以上にわたる観測データの中で、わずか6例目の大西洋のニーニャ現象になる。同現象は8月下旬まで続く見込みとしている。

 

ニーニョとニーニャの発生状況
(a)は熱帯サイクロンの発生状況。( b)(c)はニーニョとニーニャの発生による海水温の変化の推移=Severe Wheather Europeより

 

欧州中期予報センター(ECMWF)の長期予報による最新の気温予測では、太平洋側では、エルニーニョの影響で4℃以上の強い異常が続いており、同じ予測期間(8月上旬)の地表気圧の異常を見ると、エルニーニョが発生する太平洋と、ニーニャが発生する大西洋側の間に著しい気圧差が生じることがわかる。エルニーニョ側では強く深い低気圧の異常が形成される一方、大西洋のニーニャ側は安定した高気圧域となる。その結果、太平洋と大西洋の間に著しい気圧差が生じるとしている。

 

またエルニーニョが太平洋の赤道東域で発生することで、西側のインド洋上では下降気流域が生まれ、大西洋ニーニャによる高気圧域の形成と対をなす格好となり、インド洋から太平洋、大西洋の上空をつなぐ、大規模な大気循環の輪郭が浮かび上がるとしている。

 

中緯度地域での高気圧の発生は、熱帯低気圧の活動が低調となり、米国への上陸が予想されるハリケーンの数が少なくなることを示す。熱帯低気圧が発達するには不利な大気条件にあることになるわけだ。したがって、過去データに基づく一般的な分析によると、大西洋のニーニャ現象は、その原因であれ結果であれ、通常、ハリケーンにとってかなり「制約的な条件」を伴うことになるとされる。

 

また同地域全体での降水量は平年を下回る水準になると予想されており、全体的に雲や雨が少なくなる。カリブ海周辺からメキシコ湾にかけて、さらには米国東海岸沿いでも、平年を大幅に下回る降水量となる領域が出るとみられる。これは大西洋ニーニャ現象によって、大気の対流や熱帯性の活動が抑制されるためである。ニーニャ現象時に予想される通り、ハリケーン発生の可能性を大幅に低下させるとしている。

 

ただ、歴史的に見ると、エルニーニョの影響で活動が抑制され、比較的穏やかだった1992年のハリケーンシーズンにおいても、壊滅的な被害をもたらしたカテゴリー5のハリケーン「アンドルー」が発生している。つまり、確率がほぼゼロに近い場合でも、例外的な事態が起こり得るという事例もある。

 

NOAAは大西洋の熱帯低気圧およびハリケーンの総強度と持続期間を用いて、ハリケーンの全体的な活動度を測る累積サイクロンエネルギー(ACE)指数を予測に使っている。最新のCSUデータに基づく2026年のACE指数の予測では、2026年の数値は平年を大幅に下回っており、近年でも最も活動が低いハリケーンシーズンの一つになると予測されている。

 

低気圧の発生は依然として予想されるが、ACEの総量は全体として平年を大幅に下回る可能性があるわけだ。ただ、これらの大西洋のニーニャや太平洋のエルニーニョ、そして非常に静かなハリケーンシーズンをもたらすのと同じ地球規模の気象条件が、翌年の冬場に特定の気象パターンを引き起こす可能性もある、としている。

 

その可能性は、ハリケーンシーズンが低調だった後に、冬の成層圏が暖まり、極渦が弱まったり乱れたりする過去の観測からうかがえるとしている。ハリケーンシーズンが北極などでの極渦に直接影響を与えることを意味するものではないものの、これまでのデータでも、ハリケーンシーズンが弱かった翌年の冬の気温パターンに関連性があることが示されているという。具体的には、米国上空に低温の異常が生じることである。米国および北大西洋上空に低気圧域があり、カナダとヨーロッパ上空に高気圧域があることによるという。

 

大西洋ニーニャ、太平洋のエルニーニョ、ハリケーンシーズンのそれぞれの相互の影響も含めて何らかの共通要因が働いている可能性が高いと考えられる。弱い極渦はジェット気流のパターンを乱し、その結果、強い冬の気象反応を引き起こすという。そうなると、北極圏域に、寒気を封じ込めることが難しくなり、寒気は極域から米国やその他の中緯度地域へとより自由に流出できるようになるという。ハリケーンは少なくなっても、冬の激寒は防げないことになる。

 

自然界において、極渦の弱体化は本質的に成層圏循環の崩壊を意味し、その結果、極域からの寒気の流出をもたらす。ハリケーンシーズンの最も活発な時期が徐々に近づいているため、今後数週間から数カ月にわたり、この現象を注意深く監視していく必要があるとしている。

(藤井良広)

2026年秋の予報:スーパーエルニーニョが冬のような気象パターンを形成し、1月にかけてさらに強まる

https://www.severe-weather.eu/global-weather/rare-atlantic-nina-joins-super-el-nino-atmospheric-shield-hurricane-season-winter-united-states-canada-fa/

https://www.severe-weather.eu/global-weather/rare-atlantic-nina-joins-super-el-nino-atmospheric-shield-hurricane-season-winter-united-states-canada-fa/

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奥出 哲郎

奥出 哲郎

早稲田大学 経済学部 /みずほフィナンシャルグループ / 経済アナリスト